海外事業者を相手としたクーリングオフの難しさについて

クーリングオフとは

「クーリングオフ(クーリング・オフとも)」という制度は、だれもが耳にしたことのあるものでしょう。消費者を守るために作られた制度であり、特定商取引法などの管轄にあるものです。これは非常に強力な制度です。

訪問販売・電話での勧誘販売・継続のサービスを提供するもの(たとえばエステやパソコン教室など)・マルチ商法・業務提供誘因販売取引(モニター商法など)・訪問販売について、一切の手数料をかけずに、消費者が一方的に契約を打ち切り返金を求められる制度なのです。

訪問販売などは8日間、マルチ商法やモニター商法のような悪質なものは20日間の期間が設定されており、この期間内であれば、消費者は理由の一切を問われずに返金を求めることができます。

「その場の雰囲気に流されて契約してしまった」
「買わなかったら帰さないという圧力をかけられた」
という消費者を守るための制度です。なお、クーリングオフは、必ずはがきで行います。電話ではいけません。

また、通信販売に関しては、十分に考える時間があったものとして、クーリングオフの対象にはなりません。まれに、「契約書に書いてあるでしょ、うちではクーリングオフはできないから」「クーリングオフをするためには、払い込み手数料がかかります」というようなことを言ってくる業者もいます。

しかしこれは違法なことですから、当然認められません。クーリングオフは業者が任意で設定するものではありませんから、消費者からの求めがあった場合、業者はこれを拒むことができないのです。

海外事業者を介した詐欺行為にクーリングオフは対抗できるか

現金での支払いでもクーリングオフでの支払いでも利用できるのが、このクーリングオフの強みです。そのため、日本で行われる、日本の企業がやっているものについては、このクーリングオフ制度を利用できます。

また、クレジットカードでクーリングオフをした場合、クレジットカード業者に対して特段の連絡を行う必要はありません。(ただ、「お金が返ってこないようだ」「引き落としをされてしまっている」ということであれば、一度クレジットカード会社の方に相談してみるのもよいでしょう)しかし問題なのが、「海外にある事業者が、主体であったとき」です。

実際にあったケースですが、「人を紹介することで利益が得られる」というネットワークビジネスにのってしまった人がいます。通常は20日間のクーリングオフ期間があるのですが、海外に拠点を置く海外事業者の場合は、契約の形態が非常に難しくなります。海外にあるその企業が、「日本の法律ではなく、海外の法律に基づいてではないと交渉しない」と言い張ってくるケースがあるのです。

この結果、クレジットカードで引き落とされた金額が結局戻ってこない(あるいは戻ってくるまでに非常に長い時間がかかる)ということがあり得ます。

日本でのクーリングオフ制度が海外の事業者に適応される場合もありますが、被害者となった人の方が「日本語が通じない」「国内に窓口がなく、外国語で話し合いをしなければならない」などのやりとりに疲れて、結局あきらめてしまうケースも珍しくありません。

また、上記のケースでは、法律に違反しているネズミ講にあたる可能性もあるため、なかなか強く出られないという人もいるかもしれません。海外事業者が介するサービスを、特にクレジットカードを使って利用する場合、その事業者が日本語に対応しているかなどをしっかりとチェックする必要があります。

また、このようなトラブルに巻き込まれたのであれば、一人で解決しようとせず、必ずしかるべき団体(消費者生活センターや弁護士など)に相談するようにしてください。状況がこじれてから連絡するより、早い段階で迅速に行動する方がよいでしょう。

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